以前私は従業員数70人規模の同族会社で、社長補佐として財務を担当していました。
「社長補佐」と言うと聞こえはいいのですが、実際は社長一族から指示される雑用が多く、
しかも事務職という扱いなので、製造・配送の人たちと比べて賃金も安いという立場でした。
そんななかで最も理不尽さを感じたのが、同じことをしても「私だけが」怒られること!
あるとき、こんなことがありました。
集金担当者が休んだため、代わりに私が行くことになったのですが、早めに出発したこと
で、帰社後に社長からひどく怒られました。
いわく、「そんなに早く出発して、到着したときに店舗の担当者がまだ出勤していなかっ
たら、その間どうするのか?働きもせずにただ待っているのか?」というものでした。
私は開店して店の人が忙しくなる前にと気を使っただけなのに、さぼるために早く出掛
けるかのような言い方をされて、ひどく落ち込み、怒りすら覚えました。
しかも、話はここで終わりません。
後日、私が倉庫作業のヘルプに入っていたため、他の従業員が集金に行った時のことです。
その従業員は、私よりも早く出発し、帰りも非常にゆっくり帰ってきたにも関わらず、社
長からは何一つお咎めを受けませんでした。
それどころか、社長から「担当外のことを頼んでしまって悪かったな」と感謝すらされて
いました。
いろいろな意味で怒りが湧いてきました。
なぜ私だけが怒られたのか。
常に社長のそばにいるというだけで、小さなことでも言われやすい環境になっているの
ではないか。
そもそも今回集金に行った従業員は配送を担当しているのだが、本日は1件も予定が
無いので暇を持て余している。
それなのに、彼ではなく、なぜか私が倉庫作業のヘルプに入っている。
おかげさまで、本来業務であるはずの資金繰りの予測ができないでいる。
暇を持て余している彼は集金が終わったら、だらだらと煙草をふかし、定時になると同時に退勤するの
だろう。
なぜか自分だけを叱責する社長となぜか怒られない他の従業員に対する怒りで、その日はいろいろなことが手につきませんでした。
ただ、私は決して態度には表しませんでした。
後日談ですが、この理不尽な仕打ちにどのように向き合うかによって、自身のキャリアが大きく左右されることが分かりました。
それは、上記の従業員がついに社長からこっぴどく怒られてしまう日がきたときのこと。
その従業員は、理不尽な仕打ちに耐えられないと会社を飛び出しました。
人づてに聞いた話では、その後はいろいろな会社を転々としているようです。
一方で理不尽なことを一応乗り越えた私は、必要な職務経験を満たすことができ、念願の上場企業への転職を果たすことができました。